スクリーン印刷。別名シルクスクリーン印刷は、孔版印刷の1種です。
メッシュと呼ばれる網状の版にインクが通る穴(孔)を作り、
スキージーと呼ばれるツールでインクを押し出す印刷方式となります。
現在はメッシュ部分にポリエステルやステンレスなどが使用されていますが、
スクリーン印刷の原型が誕生した当時、絹(シルク)が採用された印刷工法だったため、
シルクスクリーン印刷と名付けられた背景があります。
「シルクスクリーン」「スクリーン」「シルク」と、
それぞれ慣れ親しんだ名称で呼ばれていますが、基本的には同じ印刷工法を指します。
Tシャツへの加飾にも使用されることから、その存在は広く知られています。
2. スクリーン印刷の特徴
導電ペーストなど、一部の特殊な用途を除いて、
スクリーン印刷を象徴するキーワードは、「広範囲」「フラット」「円筒形状」と言えます。
通常タイプ
・ 広範囲
フレーム枠の中にメッシュを貼るスクリーン版。
大きさの自由度は高く、銘板や商業看板、商業施設の案内地図などのサイズも対応することが出来ます。
一方、小さく、細かい印刷は比較得意ではなく、小さすぎると文字が潰れることがあります。
・ フラット
スクリーン印刷は、基本的に印刷面がフラットな場所に印刷することが可能です。
そのため、Tシャツやトートバッグ、看板などへの加飾は得意ですが、
印刷面に凹凸・湾曲があったり、突起に囲まれていたりすると印刷が困難な場合があり、
その場合は、パッド印刷等、他印刷工法を採用します。
回転タイプ
・ 円筒形状 / 円錐形状
治具にセットした製品が回転する機構を持つ、特殊なスクリーン印刷機。
その機械を使用することにより、円筒形状や円錐形状へほぼ360°印刷することが可能です。
グラスやコップ、化粧品容器、シリンジへの印刷などにも採用されています。
通常のスクリーン印刷と同じく、凹凸や歪んでいる場合は適用することができません。
3. スクリーン印刷が使用できる素材
スクリーン印刷は、様々な商品への加飾に長い間使用されており、
インクの開発も盛んでほぼ全ての材質に使用できると言っても過言ではありません。
・金属
・プラスチック(ABS,PC,PS,PP等)
・ガラス
・木材
・繊維
※素材によっては、前処理が必要なケースがありますので、ご注意ください。
4. 多彩な加飾表現
スクリーン印刷は、水性・油性・溶剤性・UV硬化型等のインクが使用可能で、
膜厚が厚く、均一な印刷が出来ることから、様々な表現が可能です。
・一般色(PANTONE指定可)
・蛍光
・蓄光
・金や銀
・発砲
・ラメ
・示温(温度で変化)
・香り
・スクラッチ
・接着材
・導電ペースト(例:タッチパネル等の電化製品内部品)
5. スクリーン印刷が採用されている商品例
・Tシャツ
・トートバッグ
・看板
・銘板
・ビールグラス
・魔法瓶 その他多数!
6. 印刷に必要なもの
次に、スクリーン印刷工法で印刷する際に必要なものをご紹介いたします。
スクリーン版
スクリーン印刷には、デザインごとに版が必要です。
メッシュ番手、素材、開口度など様々なパラメーターを設定する必要がありますが、
特にご指定がなければ、弊社にて印刷する内容に合わせて選定させて頂きます。
デザインの入稿は、基本的にイラストレーターデータで支給頂きますが、
画像データしかない場合、現物しかない、その他デザインの編集をお手伝いすることも可能です。
治具
治具は、印刷対象製品を固定し、繰り返し同じ位置に印刷できるように受ける(固定する) という大事な役割を担います。
機械や資材などその他の要因が完璧でも、治具の精度が不十分な場合、綺麗な印刷することはできません。
商品の材質・形状・印刷方法などを考慮して最適な治具設計をします。
印刷数量が少ない場合、治具に費用を掛けきれない場合もあるため、可能な場合は簡易治具も検討します。
その他、治具が必要ないケースもありますので、都度ご相談ください。
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インク
プラスチック、ガラス、木材、布、金属など幅広い製品に使用することが可能なスクリーン印刷ですが、
印刷対象物の材質に合わせて適正のあるインクを選定する必要があります。
さらに特定の耐性が必要なのかということも踏まえて選定します。
例えば、化粧品容器向けではアルコール耐性、アウトドア用品では耐候性などの例があります。
そのため、印刷のご相談を頂いた際に、
「製品の材質はなんですか?」
「プラスチックの名称(例:ABSやPPなど)は分かりますか?」
「どのようなものを入れる容器ですか、特別な耐性は必要ですか?」
「塗装はされていますか?」
など、詳しく製品の情報を聞かせて頂きます。
それは、適正な密着が期待できるインクを選定するためとなります。
ネット上で製品を購入して印刷を検討されている場合、プラスチック名称まで分からないことや表記している材質と異なることもありますので、必ず「密着テストを兼ねた試作」をお願いしております。