ホットスタンプ(箔押し)とは、加熱した凸版でプレスし、箔を秘印刷物に転写する印刷方法です。
金属箔特有の「メタリックな加飾表現」が最大の特徴で、製品に「高級感」を与えます。
そのため、化粧品などに好んで使用されています。
ホットスタンプは、インクを使用せず、熱と圧力により箔を転写するため、
他印刷方法では密着が難しい素材(PP/PEや革製品)にも使用すること出来るのも特徴です。
2. ホットスタンプの種類
ホットスタンプには、主にアップダウン・転がし・ロール 3つの種類があります。
アップダウンタイプ
最も多く使用されているモデルで、版を取り付けた熱板が上下し、
版と成形品の間にある箔を成形品に転写します。
転がし/ローリングタイプ
円筒形状製品の円周上にぐるっと印刷するための専用機。
マスカラ容器やアイライナー容器などに使用されています。
ロールタイプ
フラット・円周・オーバル上の全面に箔をのせるベタ柄専用機。
版は、ドーナツ型のラバー製ロールを版として使用します。
3. ホットスタンプが使用できる形状・素材
ホットスタンプは、様々な形状・素材に使用することが可能です。
形状
・平らな面
・曲面
・円筒形
・オーバル側面 他
材質
・プラスチック/樹脂(PP/PEも金属刻印を使用することで可能です)
・木
・繊維
・皮革
・紙
・ガラス ※ 制限あり
・金属 ※ 制限あり
4. 多彩な加飾表現
金銀箔以外にも、ホットスタンプ箔の進化により、多彩な表現をすることが可能です。
・メタリック箔:金・銀など真空蒸着で形成されたもの
・顔料箔:黒・白などの単色
・ホログラム箔
・ヘアライン箔:アルミパネルの高級感を再現
・クロム箔:自動車などで使用される高耐久性箔
・コールド箔:前工程で塗布した糊部分に箔を転写するもの、後工程でオフセット印刷も可能
等々..
5. ホットスタンプが採用されている商品例
・化粧品容器(ボトル・チューブ・マスカラ・口紅)
・自動車部品(エンブレム・タコメーター・カーナビ・チャイルドシートガイド)
・家電(テレビパネル・ゲーム機・プリンター)
・革製品(財布・名刺入れのロゴ)
・文房具(クリアケース)
・釣り具(ルアー・ワーム)
・遊具(パチンコ装飾)
・パッケージ
6. ホットスタンプに必要なもの
次に、ホットスタンプに必要なものをご紹介いたします。
ホットスタンプ刻印(金属・ラバー)
ハンコの役割をする刻印は、金属・ラバーの2種類があります。
印刷対象物の材質や仕上がりにより選定をします。
金属版
金属版は、耐久性に優れ、PPやPEなどへの密着難素材にも適用できる利点があります。
成形品表面を溶かしながら箔を密着させるため、仕上がりは少しエンボス仕上がりになります。
素材は、主に鉄・真鍮・亜鉛の3つがあります。
金属版作成には、金型は必要ありません。
ラバー版
ラバー版は、印刷物表面の微妙な湾曲などに追従する優位性があります。
仕上がりは、金属版とは異なりフラットな仕上がりになります。
ラバー硬度は、一般的に60~90°まであり、絵柄や印刷対象物により選定します。
ラバー版作成の場合、金型が必要となります。
治具
治具は、印刷対象製品を固定し、繰り返し同じ位置に印刷できるように受ける(固定する) という大事な役割を担います。
機械や資材などその他の要因が完璧でも、治具の精度が不十分な場合、綺麗な印刷することはできません。
商品の材質・形状・印刷方法などを考慮して最適な治具設計をします。
印刷数量が少ない場合、治具に費用を掛けきれない場合もあるため、可能な場合は簡易治具も検討します。
その他、治具が必要ないケースもありますので、都度ご相談ください。
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ホットスタンプ箔
メタリック箔は、ベースフィルム、離形層、表面保護層、着色層、金属層、接着層で構成されています。
着色層の色を変えることで、多彩な色を表現することが可能です。
また、メタリック以外にも顔料(赤・白・黒)を使用した箔もあります。
被印刷物の材質や用途からなる必要耐性を考慮し、適切なホットスタンプ箔を選定する必要があります。