世の中には色んな素材のものがありますね。
弊社ではさまざまな素材への印刷実績がありますが、
なかでもプラスチックへの印刷のお問い合わせや印刷実績がとても多いです。
みなさんの身の回りにあふれている「プラスチック」
けれども、そもそもプラスチックってなんだと思いますか?
プラスチックは「合成樹脂」と呼ばれています。
「合成樹脂」があるということは、もちろん天然樹脂も存在します。
松脂、漆、といったものです。現在も塗料などに用いられていますね。
合成樹脂は、一般的に石油を原料とした化学反応により人工的につくられた高分子のことをいいます。
ちなみに世界初の合成樹脂は「ベークライト(フェノール樹脂)」で、のちに「プラスチックの父」と呼ばれるレオ・ベークランドが発明しました。(発明者の名前にちなんで「ベークライト」と名付けられました)。
現在でも、ベークライトはさまざまな産業で使用されています。
この発明をきっかけに、各国でもプラスチックの研究が進み、
のちに日本でもプラスチックの生産がはじまりました。
2. プラスチックの種類
プラスチックは
大きく〔 熱硬化性樹脂 〕と〔 熱可塑性樹脂 〕に2種類に分かれます。
熱硬化性樹脂
成型前は流動性を持っていて、熱を加えると硬化する樹脂のことです。
成型時に化学反応によって硬化、三次元網目構造を形成するため、一度硬化してしまうと、再び加熱しても元の状態には戻りません。
食品に例えると…「たまご」や「クッキー」ですね。
生卵を混ぜて熱を加えて、オムレツにしたあとに、また熱を加えたとしても元の生卵には戻りませんよね。クッキーも材料をこねて、オーブンで焼いて固めてしまったら元には戻りませんよね。
これは熱硬化性樹脂の特性と同じなのです。
主な熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどがあげられます。
熱硬化性樹脂は、一度硬化してしまうとリサイクルができませんが、
強度もあり、熱を加えても変化しないので、高温化な環境での使用が想定されるプラスチック製品などに用いられています。
熱可塑性樹脂
熱を加えると溶けて液体状になり、冷やすと元の個体に戻り、また熱を加えると液体状になる樹脂のことです。
食品に例えると…「チョコレート」です。
バレンタインになると、板チョコレートを買って、湯煎して溶かして、
好きな型に流し入れて、冷やして固めますね。
また温めれば溶けて、再度冷やせば固まりますね。これは熱可塑性樹脂の特性と同じなのです。
PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂などが熱可塑性樹脂になります。
プラスチック成型品のほとんどを占めており、
わたしたちの身の回りにある多くのプラスチック製品が「熱可塑性樹脂」に分類されます。
そして熱可塑性樹脂は、さらに〔 結晶性プラスチック 〕 と〔 非晶性プラスチック 〕に分類されます
・結晶性プラスチック
プラスチックは人工的につくられた高分子だと、お伝えしましたが、
高分子はとても長いヒモの集合体のようなものだと想像してください。
そのヒモのようなものが規則正しく並んだ部分を結晶といい、この結晶部分に分子間力が働くため、プラスチックの強度が高くなります。このような結晶化した部分を持つプラスチックを結晶性プラスチックといい、結晶化した部分を持たないプラスチックを非晶性プラスチックといいます。
※赤い〇で囲んだ部分が結晶部分になります。
結晶性プラスチックは
PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)が代表的です。
PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)は耐薬性、耐溶剤性に優れていることから、
薬品や洗剤などの容器によく用いられます。
容器としての機能面で優れている一方で、
その特性がインクの密着を難している、というデメリットもあります。
そのため、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)は難密着素材としても印刷業者内では知られています。
PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)に印刷を行う際は、
適切な前処理を行い、インキとの密着性を高めてから印刷を行う必要があります。
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
・非晶性プラスチック
非晶性プラスチックの代表的なものは、
PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、ABSなどになります。
前述のとおり、結晶化構造を持たないため、透明なものが多く、成形時の寸法精度が良い事も特徴です。
3. EVA製サンダルへの印刷結果
さて、今回印刷したサンダルの素材はEVA(エチレン酢酸ビニル)です。
EVAは熱可塑樹脂になりますので、リサイクルしやすいのですが、塩素を含んでないので、燃やしても有害物質(ダイオキシン)が発生しない優秀な素材です。
サンダルやビート版、ヨガマットやジョイントマットなどみなさんの身近な製品に使われています。ビート版などに使われていることからわかるとおり、水に強く、子どもがなめたりしても安心なので、キッズルームの床材や壁材にも使われています。
そしてなんとEVAはDDS(ドラッグデリバリーシステム)にも応用されているんですよ。
今回は、パッド印刷にて試作を行いました。
爪先の「TOKUABE」の文字が綺麗に印刷されていますね。
これは曲面を考慮し、事前に歪まずに印刷されるよう絵柄を調整しています。
弊社では、このようにさまざまな素材への印刷が可能です。
こんな素材の?こんな部分に?
専任スタッフが最適な印刷方法をご提案させていただきますので、
ぜひお気軽にお問い合わせください。