
プラスチックリサイクル製品(再生PP)への印刷事例をご紹介します。
試作に使わせていただいたのは、タイ生まれの雑貨ブランド「BOPE」さまのプラスチック雑貨です。
今回はフェスグッズを想定して、さまざまなプラスチック雑貨に印刷してみました。
目次
1.「リサイクル製品」ってどんなもの?
リサイクル製品とは、捨てられるはずの資材を利用した製品のことです。
使わなくなったチークやアイシャドウをクレヨンにしたりと、誰でも簡単に取り組めるエコな活動のひとつです。
ここでは、最近トレンドになっている「アップサイクル」と併せて、もう少しくわしく見ていきましょう。
リサイクルとアップサイクルの違い
捨てられるはずのものを再利用するといえば、リサイクルが思い浮かびます。
この「リサイクル」と「アップサイクル」の違いは、どこにあるのでしょうか?
リサイクルとは、廃棄されたものを原料に戻して、再び利用することです。
古紙を使ってつくられた「再生紙」は、紙をパルプの状態に戻してから、もう一度薬剤などを加えて、紙として生産されています。
この再生紙は、「リサイクル品」です。
アップサイクルは、廃棄されたものの素材をそのまま使う方法です。
例えば楽器をインテリアグッズにしたり、野菜の皮をお菓子にしたりといった、素材を変えずに新たな製品に作り直すことを「アップサイクル」といいます。
リサイクルとアップサイクルの違いは、廃棄されたものを原材料として使うか、そのまま使うかの違いです。
アップサイクル製品のトレンドは「ユーザーが楽しめるもの」へ
次に、アップサイクル製品の最新トレンドを見ていきましょう。
カネボウ化粧品のメイクアップブランド「KATE(ケイト)」では、使っていないコスメを募集して、ステッカーに作り変えるプロジェクトが始まっています。
アウトドアブランド「THE NORTH FACE(TNF:ザ・ノース・フェイス)」では、段ボール製のシューズボックスを組み立てることで、ハンドバックやカードケースに作り変える取り組みを行っています。
このように、アップサイクル製品のトレンドは企業が一方的に製造・販売するものから、ユーザーも楽しくアップサイクルに参加できる、双方向な取り組みへと変化しています。
プラスチックリサイクル雑貨「BOPE」さまのご紹介
今回、試作事例に使わせていただいたのは、リサイクル雑貨ブランド「BOPE」さまの製品です。
「BOPE」はタイ生まれの雑貨ブランドで、どの製品も100%再生プラスチックのみを原材料としていることが特徴です。
BOPEの製品は、ひとつひとつが職人による手作りです。
独自のカラーブレンドによるマーブルカラーは、どれを選ぼうか迷ってしまうほど個性的でおしゃれですね。
どの模様も二度と同じものは作れないため、すべてがオンリーワンのグッズとなっています。

2.再生PP(ポリプロピレン)製品への印刷について
再生プラスチックには、次の3種類があります。
・PET(ポリエチレンテレフタレート)
・PE(ポリエチレン)
・PP(ポリプロピレン)
今回の試作に使ったのは、この中の「再生PP」です。
PP(ポリプロピレン)の製品を使ったことはあるでしょうか?
プラスティックのコップやソープトレイなど、水回りの製品で多く使われています。
低コストで軽量、さらに水にも強いことから、非常に人気がある素材です。
しかし、このポリプロピレン素材は、印刷が難しい材料としても知られています。
では、どうすれば問題なく印刷できるのでしょうか?
ここでは、PP製品の印刷に欠かせない「前処理」についてご紹介します。
PP製品は「前処理」でキレイに印刷できる
ではまず、ソープトレイを思い出してみてください。
ソープトレイに印刷するには、ソープトレイの表面に、印刷のインクをぴたっと密着させる必要があります。
インクはご存じのとおり、液体です。
PP素材のソープトレイは水をはじくので、そのまま印刷してもインクがくっついてくれません。
水性ペンで文字を描こうとしてもはじかれてしまう、あの感じになってしまいます。
では、印刷インクをソープトレイに密着させるには、どうすればいいのでしょうか?
インクを密着させるには、ソープトレイの表面にインクがくっつくための「濡れ指数」を高めなければなりません。
「濡れ指数」とは、素材に液体がなじむ強さのことです。
この「濡れ指数」が高いほどインクがよくなじみ、ぴたっと密着します。
反対に、濡れ指数が低いほどインクがはじかれ、密着できません。
PP製品は濡れ指数が低いため、そのままでは印刷インクの密着が難しいのです。
そこで、PP製品の印刷面に前処理をして、「濡れ指数」を高める方法があります。
「濡れ指数」を高めることで、インクの密着性を高め、PP製品にもキレイに印刷ができるようになります。
前処理のくわしい記事はこちらをご覧ください
レーザーマーキング印刷でも対応可能
PP製品への印刷は、前処理をして印刷をする方法のほかにも、「レーザーマーキング」印刷があります。
レーザーマーキングとは、レーザー光を使って印刷する方法です。
レーザーマーキングでは、大型のレーザーマーキングマシンに接続したPCに、印刷データを送って印刷します。
印刷のための版は必要なく、データを作成することで印刷できるため、コストを抑えることができます。
そのほかにも、データの変更が簡単にできたり、繊細なデザインが得意であるというメリットがあります。
一方で、条件によってはその他の印刷方法より、コストが高くなる場合もあります。
その他の印刷方法とレーザーのどちらが適しているかは、細かく検討して結論を出しましょう。
私たちが一緒に検討させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
3. 印刷製品について
それでは、実際に印刷したグッズを見ていきましょう。
今回の印刷デザインは、フェスグッズとバンドグッズを想定した2種類です。

コロナ収束後、右肩上がりのフェスグッズ市場
コロナが収束して、さまざまなイベントが復活してきましたね。
今や右肩上がりのジャンルとなっているのが「フェスグッズ」です。
「そういえば、一つくらいは持っている」という方も多いのではないでしょうか?
旅行の記念にお土産を買うような感覚で、フェスグッズはつい買ってしまう楽しい記念品のひとつです。
今や1000万人規模といわれている「推し活」にも欠かせないアイテムですね。
フェスグッズは、Tシャツやタオルなどの一般的なライブグッズのほかにも、最近では日常的に使える雑貨アイテムも増えています。
フェスグッズの印刷方法は?
今回の仮想フェスグッズは、「パッド印刷(前処理含む)」で印刷を行いました。
パッド印刷のくわしい説明は、こちらをご覧ください。
今回のようなPP製品の場合、パッド印刷のほかに、スクリーン印刷やレーザー印刷も適しています。
4. 印刷サンプル紹介
コースター(丸形 / 6角形)
マーブルカラーが美しいコースターです。
シンプルなデザインにロゴが映えますね。
オフィスのデスクにもぴったりです。
モバイルスタンド
スマートフォンを見やすい角度で支えてくれるモバイルスタンドです。
キーチェーンつきなので、バッグチャームとしてもおしゃれですね。
カフェなどでさっと取り出して使えます。
フラワーポット
小さな植物にぴったりのフラワーポットです。
直線的なデザインで、植物のやわらかなカーブを引き立てます。
土こぼれが気になる方は、トレイやコースターと組み合わせて使ってもいいですね。
トレイ
お茶の時間が楽しくなりそうな、カラフルなトレイです。
表面が平らなので、カップを運ぶときも使いやすいですね。
面積が大きいので、ロゴがキレイに映えています。
ソープトレイ(ふち付き)
水切りのついたソープトレイです。
ふち付きなので、石けんをすべらせてしまう心配もありません。
カーブの多いデザインですが、キレイにロゴを印刷できました。
5. 最後に
今回は、再生PP製 アップサイクル製品の印刷についてご紹介しました。
弊社では、今回のような再生PP製品のほかにも、さまざまなお持ち込み製品への印刷を行っています。
これまでの試作事例にない材質であっても、お客さまと一緒に最適な印刷方法を検討させていただきます。
オリジナルグッズの印刷でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。