今回は、クリップボードへの印刷事例をご紹介します。
クリップボードは、屋外や机のない場所でメモを取りたい場合に欠かせないアイテムですね。
クリップボードは印刷できる面が広いので、シンプルなイラストをひとつ入れるだけでも見栄えが良くなります。
今回の印刷では、特別感のあるロゴで、クリップボードがスペシャルなアイテムになりました。
1.クリップボードの種類と選び方
まずは、クリップボードにどんな種類があるか見ていきましょう。
クリップボードの種類
クリップボードは、用紙のサイズ別に種類があります。
小さいものなら、手のひらにおさまる伝票用のミニサイズ、大きいものならA3サイズまで、幅広い種類が展開されています。
かたちの種類としては、次のようなものがあります。
・ペンホルダーが付属したもの
・予備の紙や名刺などが収納できるポケットがあるもの
・使う場所に固定できるよう、チェーン金具がついたもの
クリップボードの素材
クリップボードの素材は、次のようなものがあります。
・ポリプロピレン(PP)
ポリプロピレンはプラスチックの一種で、クリップボードの素材としてはコストがもっとも安い素材です。
水や熱に強いため、屋外での使用にも向いています。
・ポリスチレン(PS)
ポリスチレンもプラスチックの一種で、今回の印刷事例で使用した素材です。
加工しやすいことから、カップラーメンの容器や、プラモデルの材料としても使われています。
耐熱温度は70度ほどで、熱にはあまり強くないため、高温になる場所では使用できません。
・MDF
MDFは、木材を粉にして圧縮した素材です。
自然な木の色で、雑貨屋さんのようなナチュラルな雰囲気が演出できます。
MDFは湿気に弱いため、水気が多い場所での使用には向いていません。
・合成皮革
合成皮革は、プラスチックやMDFに比べてクッション性がある素材です。
手触りや見た目に高級感があり、ホテルのフロントなどで使われていますね。
パタンと二つ折りにできる形状もあるため、プライバシーを重視する場所での使用に向いています。
クリップボードの選び方
カジュアルな印象にしたいキャラクターグッズや雑貨商品は、プラスチックだと気軽なイメージになります。
記念品として制作する場合は、合成皮革で高級感を出すのもおすすめです。
プラスチックを使うとコストを抑えられるので、手に取りやすい価格設定にすることも可能です。
2.クリップボードへの印刷
ここからは、クリップボードへの印刷について見ていきましょう
クリップボードへの印刷方法は、単色とフルカラーの2種類があります。
単色とフルカラーで、それぞれ印刷方法が異なります。
単色:シルクスクリーン印刷
単色印刷に使うのは、シルクスクリーン印刷です。
シルクスクリーン印刷とは、版板(スクリーン)にインクをつけて印刷する方法です。
あらかじめ、絵柄となる部分に穴をあけた「版」を用意しておこないます。
版上にインクを乗せてスキージー(プラスチックのヘラ)で刷ると、絵柄部分のインクが版の下側へ移動し、製品へ絵柄が転写されます。
シルクスクリーン印刷で多色印刷をする場合、使う色の数だけ版板が必要になります。
そのため、小ロットでは全体的なコストがやや高くなる場合があります。
シルクスクリーンについてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
フルカラー:インクジェット印刷
フルカラーで印刷する場合は、「インクジェット印刷」という方法を使います。
インクジェット印刷は、紙に印刷するインクジェットプリンターと同じ仕組みです。
印刷物を大型プリンタの中に入れ、色をつけたい部分にインクを吹き付けて、定着させます。
クリップボードの素材に合わせて適切なインクを
印刷で使うインクには、それぞれ「密着性」と「耐性」があります。
そのため、クリップボードの素材により、適切なインクを選定する必要があります。
たとえば、次のような状態で使うとします。
・高温多湿(工場など)
・アルコールがつく(病院など)
・ゴシゴシこすれる(小さな子どもが使う)
こういった環境でクリップボードを使う場合は、私たちのほうで適したインクを選定いたします。
印刷がはがれたりしないように、環境に適した密着性と耐性のあるインクを選定しますので、使用状況などもあわせてご相談ください。
3. クリップボードの印刷を注文したときの流れ
私たちに印刷をご依頼いただいた場合の、制作の流れをご紹介します。
① データ入稿
印刷したいロゴやデザインのデータを、ご入稿いただきます。
今回のようなシルクスクリーンの場合は、イラストレーターデータ(AI形式)での入稿となります。
インクジェットの場合は、JPEG形式やPNG形式などの画像データ(推奨解像度:印刷するサイズにて 350dpi以上)でも入稿が可能です。
② 試作
量産前に必ず試作をおこない、お客さまにご確認いただきます。
ご確認いただくのは、印刷の仕上がりイメージと、印刷部分の耐久性です。
私たちのほうでも簡易的なテストは行いますが、最終的なご判断は、お客さまにしていただくようにしています。
③ 校了
試作品をご確認いただき、問題なければ校了となります。
④ 量産
校了後、量産に入ります。
データの入稿から量産までは1~2か月ほどが目安となりますが、1か月以内で可能な場合も多くあります。
お急ぎの場合は柔軟に対応させていただきますので、納期が決まっている場合はできるだけお早めにお問い合わせください。
4. 今回の印刷サンプル紹介
今回の印刷サンプルはこちらです。
白いプラスチック(PS製)のクリップボードに、スクリーン印刷 1C 黒 で印刷しました。
デザインは、シンプルに黒一色でロゴを作りました。
ロゴは、クリップボードにはさんだ紙をめくったときに、チラリと見える位置に配置しています。

5. 特殊阿部製版所の小ロット印刷について
私たち特殊阿部製版所の「小ロット印刷」についてご紹介します。
1点からでも注文できる
特殊阿部製版所では、1点からでもご注文いただくことができます。
「最小ロット」の設定はなく、お客さまのご都合で、自由に数量をご指定いただくことが可能です。
ただし、数量が少なくなるほど1点あたりのコストが割高になります。
ご予算にあわせて最適な方法を提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
特殊印刷資材の専門メーカーならではの高い技術力とネットワーク力
私たちは現在、印刷請負サービスを行っておりますが、もともとは特殊印刷のための製版(印刷用の板)と副資材の専門メーカーです。
創業60年以上の経験で、印刷と資材について、これまでにもさまざまな課題をクリアしています。
「こんな印刷をしたいけど、方法がわからない」
「特殊な素材に印刷したい」
このような課題もぜひお寄せください。
他社でお断りされた印刷も、お客さまと一緒に検討させていただきます。
6. まとめ
今回は、クリップボードへの印刷についてご紹介しました。
クリップボードは印刷面が広いので、比較的自由にデザインできる楽しい素材です。
私たちは、今回のようなクリップボードのほかにも、さまざまなお持ち込み製品への印刷を行っています。
1点からご注文いただけますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。