木製櫛への印刷についてご紹介します。
今回は櫛の持ち手の平らな部分だけでなく、ギザギザの「歯」の部分にも印刷していますので、ぜひ写真でご確認ください。
ちょっと変わったデザインで、オリジナリティのある特別な櫛が完成しました。
木製櫛は、素材となる木の種類によってそれぞれ名前がついています。
ここでは、木製櫛の種類を見ていきましょう。
さつまつげ
「さつまつげ」は、日本固有のツゲの木で作られた櫛です。
ツゲは光沢が美しく、割れにくい性質があり、櫛の材料として昔から使われてきた木材です。さつまつげは鹿児島県が産地のため、「さつま」という名前がついています。
本つげ
「本つげ」は、タイ産のシャムツゲの木で作られた櫛です。
ツゲは成長が遅いため供給が少なく、大変高価な素材でした。
そこで、材質の似た「シャムツゲ」をタイから輸入し、生産するようになっています。
あかねつげ
「あかねつげ」は、南米産のアイボリーウッドで作られた櫛です。
タイ産のシャムツゲは盛んに輸出されていたこともあり、タイ国内での供給が追い付かなくなることを懸念して、2013年に輸出禁止となってしまいました。
以後は、シャムツゲに似た「アイボリーウッド」が使われています。
本つげとあかねつげは「さつまつげ」の代替品ではありますが、木材の強度はさつまつげとかなり近い数値が確認されていて、実用には問題ない製品です。
わずかな色合いの違いがあるので、写真や現物をよく確認してお好みのものを選びましょう。
2.木製櫛への印刷について
木製櫛への印刷を成功させるコツは、「印刷しやすい形状」の櫛に、「きれいに見えやすいデザイン」を印刷することです。
ここからは、木製櫛への印刷方法についてくわしくご紹介します。
フラットな形状の木製櫛なら、シルクスクリーン印刷
木材への印刷は、カフェの看板やナチュラルな家具などでもよく見かけますね。
印刷するものの形状によって、次のような印刷方法が使われます。
板のように平らなもの・・・シルクスクリーン印刷
凹凸のある形状、曲面の形状・・・パッド印刷
今回のサンプル印刷では、フラットな形状の木製櫛を選んだので、シルクスクリーン印刷で印刷をおこないました。
シルクスクリーン印刷の印刷方法は、次のような手順です。

- 絵柄の形に穴をあけた板「スクリーン版」を用意する
- スクリーン版にインクをのせて、スキージーで押す
- 絵柄の穴からインクが落ち、製品に印刷される
シルクスクリーン印刷の特徴は、広い面に印刷できることと、大量生産が可能なことです。
また、写真のようなフルカラー印刷がしたい場合は、インクジェット印刷でおこないます。
ワインの木箱など高級感のあるパッケージには、箔押し(ホットスタンプ)で印刷します。
パッド印刷、シルクスクリーン印刷について、くわしくはこちらをご覧ください。
印刷がきれいに見えやすいデザイン
きれいに見えるデザインのコツは、「大きな絵柄にすること」です。
木製櫛の歯の部分、つまり隙間の部分にはインクが乗りません。
乗らないということは、「絵柄がなくなる」ということですよね。
多少絵柄がなくてもデザインがわかるようにするために、細かい絵柄ではなく大きな絵柄にしたほうが、きれいに見える可能性が高まります。
印刷しやすい木製櫛の選び方

木製櫛の中でも、印刷しやすいもの・印刷しにくいものがあります。
印刷しやすい木製櫛の選び方はこちらです。
形状はフラットなものを選ぶ
木製櫛の中でも印刷しやすい形状は、「フラットな形状」です。
フラットな形状であれば「シルクスクリーン印刷」が可能なので、櫛いっぱいに印刷するような、大きな絵柄も印刷することができます。
また、大きな絵柄は、インクジェット印刷でも可能です。
フラットな形状の木製櫛以外にも、印刷は可能です。
お花などの模様が彫り込まれているような、凹凸のある形状の木製櫛には、パッド印刷で印刷します。
ただし、パッド印刷は大きな絵柄より小さい絵柄が得意な印刷方法なので、印刷範囲も小さめです。
大きな絵柄を印刷したい場合は、フラットな形状の木製櫛をご選定ください。
塗装は無塗装を選ぶ
塗装については、無塗装のものが最適です。
表面にニスが塗られていたり、すでに塗装がされているものは、インクが上手くつかないこともあるのでご注意ください。
木製櫛の形状・塗装はさまざまなので、製品選びにもコツがいるかもしれません。
私たちにご相談いただけましたら、印刷しやすい形状・素材の製品を選ぶお手伝いもできますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
なお、恐れ入りますが、基本的に印刷製品のご用意は承っておりません。
印刷製品の手配はお客様にてお願いしております。
3.今回の印刷サンプル紹介
それでは、今回の印刷サンプルを見ていきましょう。
凸凹のないフラットな形状の木製櫛に、白インク一色で印刷しました。
櫛の歯の部分には細い隙間があり、通常なら印刷は難しい部分です。
しかし、だからこそ「この部分にも綺麗に印刷できるのか?!」という挑戦で印刷をおこないました。


「歯の隙間にインクが入り込んでしまう…」といったこともなく、綺麗に仕上がりました。
櫛の全面に印刷することで、面積を大きく使えるので、デザインの幅が広がりますね。
うさぎが生き生きと飛び跳ねる様子が伝わってきます。
市松模様と梅花のデザインで、インバウンド向けにもおすすめのデザインになりました。
しかし、木製櫛の歯に印刷する場合、細かい絵柄はやはり向いていないことがわかりました。
歯の隙間部分にはインクが乗らないので、その部分に本来あるはずの絵柄がなくなってしまい、小さい絵柄だと絵柄そのものが消えてしまうためです。
木製櫛の歯の部分にも絵柄を印刷したい場合は、今回の印刷サンプルのように、大きな絵柄がおすすめです。


裏面は、持ち手の部分のみに印刷しています。
こうして実際に印刷してみると、歯の隙間の幅や櫛の形状により、向き不向きがありそうなこともわかりました。
私たちは本制作の前に必ずサンプル印刷を行いますので、印刷の試作をご確認いただいてから進めることが可能です。
「あまり見かけないけど、こんな印刷ってできるの?」「他では断られてしまった」など、ちょっと変わったデザインや製品のご相談もぜひお待ちしております。
製品やデザインをお見せいただけましたら、適切な印刷方法をご提案いたします。
4. ご注文方法と納品までの流れ
ここからは、印刷のご注文方法と納品までの流れを簡単にご紹介します。
ご発注・デザインのご送付|最小ロットは1個から
まずは、印刷したいもの・印刷したいデザインについてご相談ください。
最小ロットは1個から可能です。
ただし、印刷に必要な版や治具などの制作費が必要になりますので、ロットが少ないほど1個あたりの原価が高くなってしまうことにご注意ください。
デザインがすでにお決まりの場合は、デザインデータをご送付ください。
まだイメージのみの場合は、デザインの制作もあわせてご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
サンプル制作・本制作
印刷物とデータがそろったら、サンプル制作に入ります。
サンプル制作後、お客様と現物を確認し、印刷のチェックを行います。
サンプル制作で印刷の品質や耐久性にご納得いただけましたら、本制作に入ります。
納期のめやす
数量や時期にもよりますが、データ入稿から量産完了まで、1~2か月をご予定ください。
お急ぎの場合は別途検討させていただきますので、ご相談ください。
5.まとめ|他ではできない印刷もお任せください
今回は、木製櫛への印刷についてご紹介しました。
他ではなかなか見られない「歯」の部分に印刷することで、デザインの可能性を広げています。
私たちは、今回のような木製櫛のほかにも、さまざまなお持ち込み製品への印刷を行っています。
「他では見たことがないけど、こんな製品に印刷したい!」といった挑戦も大歓迎です。
個人さまも法人さまも、ぜひお気軽にお問い合わせください。

