今回のテーマは「シリコーン」です!
シリコーン製の商品はみなさんの身の回りにあふれていますね。
たとえば、スマートフォンケースやスマートウォッチのベルト、
赤ちゃん用のお食事エプロン(シリコーンビブ)やリモコンのボタン、
キッチンツールであるお玉やヘラも最近はシリコーン製のものが多いですね。
商品から想像できるとおり、撥水性や耐熱性に優れています。
さて、とっても身近なシリコーン製の商品ですが、
商品によって「シリコン」と書いてあったり「シリコーン」と書いてあったりと、
長音符の有無による表記ゆれがあるのにお気づきでしょうか?
「シリコン」と「シリコーン」、何か違いがあるのでしょうか?
これはなんとまったく異なる物質なんですよ。
シリコンとは
シリコンは英語でSiliconと表記し、日本語ではケイ素(Si)を指します。つまり元素です。
「水兵リーベ僕の船 七曲がるシップス クラークか」
みなさんも化学の授業で暗記させられましたよね?
ケイ素はシップスのシ(Si)、14番目の元素になります。
ケイ素は、地球の主要な構成元素のひとつであり、地殻中に大量に存在しますが、酸素と結合しやすいので、天然には単体として存在していません。
単体のケイ素は石英である二酸化ケイ素(SiO2)を炭素と一緒に高温で反応させることで得られます。
この反応によって生成された金属ケイ素(Si)を、さらに高純度化させたものがシリコンウェハーと呼ばれ、半導体や太陽電池の製造に欠かせない材料となります。
~ シリコンバレーの由来 ~
余談ですが、GoogleやAppleなど多くのIT企業の本社があるサンフランシスコ南岸に位置する地域を「シリコンバレー」と呼びますよね。あれはシリコンなのか、シリコーンなのか、どちらだと思いますか?
これはシリコンが正解です(有名な半導体メーカーの会社がたくさんあったため、材料名を冠して、シリコンバレー [ Silicon valley ]と呼ばれるようになったそうです)。
シリコーンとは
シリコーンは英語でSiliconeと表記し、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を主骨格とするポリマーの総称です。
シリコーンは金属ケイ素(Si)とほかの物質を反応させることで生成されます。
生成されたシリコーンの形状によって、シラン、オイル、ゴム、レジンなどに分類されます。
2. 「シリコンパッド」?「シリコーンパッド」?
ということは弊社でパッド印刷用に製造・販売している「シリコンパッド」、
こちらはシリコーンゴムを主原料としていますので、正しく表記するのであれば「シリコーンパッド」になります。
もちろん弊社の英語版Webサイトでは [ silicone pad ] と表記しておりますし、弊社でも「シリコン」ではなく「シリコーン」が本来ならば正しいと、知識としては理解していますが、シリコーンゴムを原料とした、パッド印刷に用いる成形品は「シリコンパッド」と称することが定着していますので、今後も「シリコンパッド」と表記させていただきますね!
3. シリコーンについてもっと詳しく
シリコーンはシロキサン結合を主骨格とするポリマーとお話ししましたが、
もう少し詳しくお話しすると、シリコーンはシロキサン結合(無機)の側鎖に有機基がついている構造を持っています。
つまり有機と無機の特性を併せ持つということです。このことからシリコーンはハイブリッドな素材と言われています。また、側鎖が有機基なので、さまざまな特性を付加することができます。
シリコーンの特長としては、
耐熱・耐寒性、耐候性、絶縁性、消泡・整泡性、撥水性、離型性などがあげられます。
また、柔軟性があり、化学的安定性にも優れています。
4. こんなところに使われているシリコーン
キッチンツール
私たちが普段目にしたり使用することが多いシリコーン製品は、このシリコーンゴム製のキッチンツール(お玉、ヘラ、スチーマー)ではないかと思います。耐熱性に優れていますし洗いやすく使いやすいですよね。耐寒性にも優れているので、製氷皿などにも使われています。シリコーン自体が加工・着色しやすいので、デザイン性の高い製品や、可愛い見た目の製品が多いのも特長です。
化粧品、生活用品
化粧品や生活用品にもシリコーンが使われています。シリコーンは生理的に不活性(生体の特定の生理的調節機能に作用しない)なので安全安心なんです。撥水性があるのでウォータープルーフの化粧品に使われたりもしますし、潤滑性を付与するためにリップやシャンプーなどにも使われています(ノンシリコーンシャンプーって売ってますよね!)
柔軟剤にも使われています。シリコーンのおかげでタオルがふわふわになるんですよ。
ベビー用品
シリコーンビブ(お食事用エプロン)をはじめ、哺乳瓶のニップルなどにも使われています。また最近はシリコーン製のおもちゃもたくさんありますね。撥水性、耐熱性はもちろん、シリコーンは安全性が高いので、赤ちゃんが手に触れたり口に含んだりしても大丈夫なんです。
食品
なんと食品にも使われています。食品に添加されているシリコーンは主に「消泡剤」として製品内に発生した泡を消して、なめらかにするために使われています。業務用の油やお豆腐、杏仁豆腐などに使われていることがあります。製造工程や運搬工程で泡が入るとよくない製品に使われていることがわかりますね。
他にもたくさんの産業分野でシリコーンが使われており、私たちの生活に欠かせないものになっています。
ちなみに弊社ではシリコーン製のこんな商品も出しています!
5. シリコーンゴム製品への印刷
シリコーンゴム製品への印刷は、プラスチック印刷などと比較すると非常に特殊な印刷方法になります。そのため、印刷が可能な会社さまも非常に限られています。
撥水性や離型性などの特性はとても利便性が高いですが、その特性によりインキが密着しにくいのです。
適性のあるインクをしない場合、印刷出来ているように見えても、密着性はもちろんのこと、インク被膜が柔軟ではないため、製品の伸縮に追従することが出来ずに、「割れる」ことがあります。
この「割れ」というのも印刷用語ですね。知っている方も多いとは思いますが、少し補足させていただきますね。
みなさんの身近にある「印刷の割れ」は衣類品の絵柄が一般的にはイメージしやすいのではないかと思います。Tシャツなどにプリントされたキャラクターの絵柄が、長く着ていると割れていったりしますよね。(Tシャツ印刷の割れは洗濯の摩耗による割れではあるのですが)、「印刷の割れ」、イメージできたでしょうか?
シリコーンゴム製品への印刷割れ対策は、シリコーン製品印刷用の専用インキを用いることで解消されます。
この専用インキを用いると曲げたり伸ばしたりしても、剥がれや割れなどが発生しません。
また、シリコーンゴム製品への印刷を考える際の注意点としては、
シリコーンゴム製以外の部品があるかないか
高温下でインキを密着させるため、高温耐熱性がない部品がシリコーンゴム製品とセットになっている場合、
その部品が溶けてしまう可能性があります。
密着テストの必要性
商品によってシリコーンゴムなどの配合が異なるため、事前に密着テストを行うことが必須になります。
色表現(インキ)の制限
シリコーンゴム製品印刷用の専用インキを用いるため、通常の印刷に比べて色の制限があります。
※詳しくはお問い合わせください。
印刷工法は、広範囲に印刷が可能な「スクリーン印刷」を選択することが多いですが
「パッド印刷」を選択することで、曲面などへの印刷も可能です。
シリコーンゴム製品への印刷をご希望の方は、
ぜひお気軽にお問い合わせください。