1. そのインクは、適切か?
製品への印刷を行う上で、適切なインクを選ぶことは非常に重要です。
「適切」と言っても、この基準は、お客様の考え、商品特性 、使用環境 等により大きく異なります。
・使い捨てだから、触って落ちなければ問題ない
・香水を入れるボトルだから、アルコールがついても落ちないようにしたい
・アウトドア製品だから、多少の摩耗や衝撃にも耐えられるようにしたい
・飲食店で使用する想定のグラス。食洗器で洗って落ちないようにしたい…など
そのため、弊社では、簡易的な密着テストは行いますが、
その商品にとって「適切であるか」は、必ずお客様にご判断を頂くようにしております。
試作品を作成する際、外観だけではなく、密着性や耐性が十分かもご確認頂くと宜しいかと思います。

2. 一般的な密着テスト方法
製品問わず、密着適正を確認する方法として、クロスカットテープテストという方法があります。
これは、印刷面に切り込みを入れて、はがれやすい状況にしたうえで、テープではがすことにより十分な密着性があるか、というテストです。
〇クロスカットテープテストの方法
クロスカット:素地まで達する格子状の切り込みを印刷面つくる(カット間隔は、1~2mm)
テープテスト:切り込み面にセロテープを強く圧着させて、45度の角度で一気にはがす
クロスカットテープテストは一般的にも使用されているので、
密着性を確認したい!という場合は、クロスカットテープテストを実施してみてください。
もしくは、簡略的なテープテスト(カットはしない)だけでも、製品によっては十分な場合もあります。
3. さまざまな耐性テスト
商品によっては、密着テスト以外にも様々な評価項目が設定されている場合があります。
例えば、容器への名入れの場合、その容器に何を入れるか、というのは重要なポイントです。
仮に、アルコール耐性が無いインクを選定してしまうと、密着テストはOKだけど、
アルコールで拭くと取れてしまった… という事は起こりえますので、必ず「〇〇の耐性が必要」と、事前にお伝えください。
〇 物理的耐性の例
・硬度:固い鉛筆の先でゴリゴリとこする
・耐摩耗性:消しゴムで印刷面を連続的に摩耗する(人が良く触る商品への印刷など)
・衝撃:衝撃を印刷面に与える
・屈曲:印刷した部分をまげる(板金製品など)
〇 化学的耐性の例
・耐水性:長時間水につけたときの変化(水中で使用するものなど)
・耐寒/耐熱性:寒さや熱がかかる環境での変化
・耐湿度:湿度の高い空間に長時間放置したときの変化
・耐候性:人工照明を長時間当てて、外観や性能に変化があるか(外で長時間使用し、太陽の光が当たることが想定される製品)
・耐薬品性:ガソリンなど、特定の薬品に浸漬したときの変化(自動車や2輪部品など)
・耐溶剤耐性:アルコールなど、特定の溶剤に浸漬したときの変化(香水・美容製品など)
・耐汗性:人工汗で摩耗したときの変化(汗をかいた人が触る製品など)
・耐酸性、耐アルカリ性
4. 注意事項
・商品の使用用途や充填物、必要な耐性があれば、事前に伝えましょう。
・同じ材料名でもメーカーやリサイクルの有無、混合物で変化する場合があるため、
密着テストをする際は、実際の商品で行うことを推奨いたします。
・インクメーカーの技術資料に、インクの特性を図る試験が記載されている場合があります。
参考にすることは出来ますが、商品の素材・表面状態・塗装材料・絵柄・資材条件が異なりますので、
実際の商品で評価をしえてください。
・印刷面を手で触ると、手の油が製品に移り、密着に影響を及ぼすことがありますので、
極力印刷面は触らないようにしてください。