今回は自転車用のヘルメットへ印刷を行いました。
2023年4月1日より、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化されましたので、
「買ったよー!」という方も多いのではないでしょうか?
ヘルメットは「産業用(工事など)」「乗車用(バイクや原付など)」
「自転車用」というように用途によって分けられており、それぞれに安全基準が設けられています。
購入する際は必ず用途に合ったヘルメットを購入/着用するようにしてくださいね。
ヘルメットへの印刷はむずかしい!?
実は、ヘルメットに後加工で印刷を行うのは、かなり難易度が高いんです。
なぜヘルメットは印刷しにくいのか、順番にご説明させていただきますね。
① 形状
まずはその形状です。
平面ではありませんし、形も楕円の場合もあれば、
でこぼこして穴があいていたり、鍔があったりします。
また、中は空洞かつウレタンや紐があったりして形が複雑(=治具がセットできない)、
そもそも大きい(=治具が作れない/作れたとしても割高)ということもあげられます。
② 材質
既製品のヘルメットは後加工としてハードコート処理をしているため、
その上から、印刷加工を行うとインキが密着しにくい傾向があります。
なお、工事用の安全ヘルメットの材質としてメジャーなのは、以下の4種類です。
- FRP製(繊維強化プラスチック)
- ABS製(アクリロニトリルブタジエンスチレン)
- PC製(ポリカーボネート)
- PE製(ポリエチレン)
このなかでポリエチレンは難密着性素材として有名です。
材質や商品によってインキの密着度は異なるため、
印刷テストは必須となります。
また、ヘルメットの内側にクッション用途として、
発砲スチロール系などの素材が使われている場合は熱乾燥ができないため、
密着を出すことがむずかしくなります。
つまり、ヘルメットのすべての要素が印刷をむずかしくしているのです…!
2. ヘルメットへの加飾方法
「ヘルメットへの印刷はむずかしい!」と半ば言い切ってしまいましたが、
ヘルメットへの印刷を専門としている会社さまがあるくらいですので、方法はあります。
ここではいくつかの加飾方法についてご紹介しますね。
① スクリーン印刷
スクリーン印刷についての詳しい説明は ▶ コチラ
インキの厚みもあり、発色もよく、剥がれにくいです。
版や治具代がかかるため、少量の場合はコストメリットが出しづらいです。
量産型のヘルメット印刷ではよく選択される印刷方法になります。
② 転写印刷
インクジェットプリンターで印刷した特殊な転写シートを貼り付ける加飾方法になります。
版が必要ないため、少量品に適しています。
フルカラーでの表現が可能で、また、ステッカーに比べ耐久性があります。
後加工でも主流になりつつある加工方法です。
③ ホットスタンプ(箔押し印刷)
ホットスタンプ(箔押し印刷)とは、
加熱した版と薄いフィルムの箔を使って印刷する方法です。詳しい説明は ▶ コチラ
熱を使って印刷しますので、
普通の印刷では密着がむずかしい素材にも印刷することが可能です。
ヘルメットへの印刷の場合、範囲的にはワンポイントでの加工になりますが、
箔を使うことで豊かな色表現が可能となり、遠目からでも存在感を持たせることができます。
④ ステッカー(シール)
使っているうちに剥がれてきてしまうなど、耐久性には課題がありますが、
手頃な価格でフルカラーを表現できることから、
ステッカーで対応されている会社さんも多いです
(弊社でも案件内容によっては、ステッカーでの対応をおすすめすることがございます)。
⑤ パッド印刷
パッド印刷についての詳しい説明は ▶ コチラ
スクリーン印刷と同様、版や治具代がかかってきますが、
パッド印刷の強みはなんといってもシリコンパッドという転写体を用いることにより、
複雑な形状への印刷方法が可能なこと。
コスト的には単色をおすすめしますが、多色刷りも可能です。
3.自転車用ヘルメットへの試作事例
それでは試作事例をご紹介します。
弊社内でパッド印刷したものです。
このような穴があいている複雑な形状であっても、
パッド印刷であれば、印刷が可能です。
また、今回の試作事例は自転車用のヘルメットですが、
工事用のヘルメットや、防災用の折り畳みヘルメットなどにも印刷することができます。
ヘルメットへの印刷をご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。