今回は木材でつくられたひょうたん型の七味入れへ印刷を行いました。
今回の七味入れの材質は木材ですので、
まずは木材への印刷についてお話しさせていただきます。
基本的に印刷可能な材質ではありますが、いくつか注意点があります。
木材表面のコーティング材との相性
木材という性質上、そのままでは水分が浸み込んでしまいますので、
表面加工が施されているケースがほとんどです。
そのため、印刷する際はインキとコーティング材との相性を考慮する必要があります。
表面凹凸による印刷のかすれ
木材表面に凹凸がありますので、印刷がかすれてしまうことがあります。
特に細線や小さな文字は注意が必要です。
再現性には限界があるため、
印刷のかすれがアクセントになる前提でデザインを検討されるとよいでしょう。
木材と印刷したいデザイン(色)との相性
木材へカラー印刷を行う際、注意したいのは下地の色との相性です。
一般的に、白背景の上にデザインを想定することが多いと思いますが、
製品色が印刷色よりも強い場合、製品色が印刷色に悪響を与える場合があります。
たとえば、黒いボトルにピンク色の印刷した場合、
下地の色=黒に、インキ=ピンク色が負けてしまって、
黒ずんだピンク色になってしまう事があります。
そのような場合は、通常は「白引き」といって、
印刷したいデザインの下に白いインキで印刷を行ったり、
二度印刷することで、解決できるケースがありますが、
印刷方法によっては限度があるため、注意が必要です。
2. 木製製品への加飾方法
それでは、木材への加飾方法をご紹介させていただきますね。
① スクリーン印刷
スクリーン印刷についての詳しい説明は ▶ コチラ
『 水と空気以外の平面のモノであれば印刷できる! 』というのが
スクリーン印刷の代名詞ですので、木材にも印刷が可能です。
※平面でなくても筒のような形状であれば、こちらも印刷が可能です。
インキの厚みもあり、発色もよく、剥がれにくいですが、
版や治具代がかかるため、少量の場合はコストメリットが出しづらいです。
② パッド印刷
パッド印刷についての詳しい説明は ▶ コチラ
スクリーン印刷と同様、版や治具代がかかってきますが、
パッド印刷の強みはなんといってもシリコンパッドという転写体を用いることにより、
複雑な形状への印刷方法が可能なこと。
コスト的には単色をおすすめしますが、多色刷りも可能です。
③ インクジェット印刷
インクジェット印刷とは、
CMYK4色のインキを霧状に噴射することで、直接製品に印刷する方法です。
版をつくることなく、写真やフルカラーデザインの印刷が可能です。
木材へフルカラーの印刷を行う場合、インクジェット印刷を選択することが多いですが、
木材のサイズや厚みなどの制限がございますので、ご注意ください。
④ 転写
フルカラー印刷した転写シートを木材に貼り付け、熱で密着させます。
DIYなどで行われている方も多い加飾方法になります。
⑤ レーザーマーキング(レーザー彫刻)
木材に光線を照射し、表面を加工することで、文字やデザインを施す加飾方法になります。
他の加飾方法に比べると、印刷にかかる時間が長く、コストが高くなる傾向がありますが、
意匠性の高い繊細なデザイン表現が可能です。
⑥ 焼印
「焼きごて」と呼ばれる金属製の型を高温に熱し、印刷したい部分に押し付け、
焦げ目をつけることで文字やデザインを表現する方法になります。
どら焼きや紅白まんじゅうなどに文字が入っていることがありますよね。あれも焼印です。
単色になりますので、シンプルな表現にはなってきますが、
木材の素材や風合いを活かすことができ、個人での扱いも可能なため、よく選択されます。
3. ひょうたん型の七味入れ(木製)への試作事例
それでは試作事例をご紹介します。
加飾方法はパッド印刷です。
綺麗に印刷できていますね。
そして今回の試作事例では、弊社独自のちょっとした技巧を込めてみました!
高低差がある製品への印刷
ひょうたんの形をみてください。
ふたつのふくらみがありますが、高低差がありますよね。
このような高低差があるものへの印刷というのは、本来ならば2工程で印刷します。
ひょうたんの上部分を印刷し、外して、乾燥させたのち、
再度ひょうたんや版などをセットし、下部分を印刷する、といった具合です。
こう言った複数工程の印刷は時間がかかるため、コストも高くなりがちです。
…でも!
「組み合わせパッド」を使えば1回で印刷できるんです。
まずは動画をご覧ください。
1回(1工程)で印刷できちゃいましたね!
組み合わせパッドを用いた印刷
組み合わせパッドについて少しご説明させていただきますね。
(名称そのままではあるのですが)
パッド印刷に用いるシリコンパッドを組み合わせて、連結させたもののことです。
このように組み合わせて連結させることによって、
これまで複数工程で印刷していたものを、1工程で印刷することができます。
しかしただシリコンパッドをくっつければOK、というものではなく、
ノウハウと綿密な調整によって実現可能な技術となります。
「製版業」として60年以上の歴史がある弊社だからこそ、
このような複雑な技術を用いた印刷への対応が可能です
(今回の印刷に用いた組み合わせパッドも弊社で設計/製造したものになります)。
弊社では、このように製版や資材から印刷へのアプローチが可能なため、
他社さまでお断りされたような案件であっても、
さまざまな印刷方法をご提案することが可能です。
ぜひお気軽にお問い合わせください。