今回はNFCタグへの印刷事例をご紹介します。
「NFC」とは「Near Filed Communication」の略称で、近距離無線通信のことです。
非接触ICチップが内蔵されたNFCタグやNFCカードを、
NFC読み取り/書き込み機器にかざすだけで通信することができます。
私たちの身近にあるものですと、
交通系ICカードやマイナンバーカードなどに使われている技術になります。
NFCのメリット/デメリット
NFCの利点はなんといっても「処理速度が速い」ことです。
交通系ICカードは、改札機にかざしたらピッ!とワンタッチで通過できますよね。
あれが、クレジットカードの差し込み決済ぐらい時間がかかったらどうでしょうか?
改札が毎日大渋滞してしまいますよね。
この処理速度の速さがNFCを選択する最大のメリットです。
反対に、大きなデメリットとしては、書き込める容量が決まっていることがあげられます。
個人が使用するNFCタグなどへの書き込みは、
スマートフォンのアプリから行うのですが、
あまりにも長すぎるURLや処理ですと容量オーバーで書き込めないことがあります。
ご購入いただく際には、該当商品の容量を確認することをおすすめいたします。
個人だとどんなときに使うの?
たとえば、社用車の運転席に置いてあるスマホスタンドに、
マップのアプリ起動処理を書き込んだNFCシールを貼っておくと、
スマホをスタンドに置くだけで、マップを起動させることができます。
毎日仕事で必ずかける電話番号、毎日必ず立ち上げるアプリや動作…
このような必ず発生する作業工程をNFCへ書き込みし、
作業する場所にシールを貼ったりすると、業務効率化につながります!
また、スマート家電のコントロール用に使われる方も多いようです。
NFCを使えば、今までキーパッドで入力/解錠していた自宅の鍵を、
NFCタグやNFCカードをかざすだけで解錠できます。
プライベートでも生産性の向上が期待できますね!
(NFCタグやカードの種類にもよりますので、ご購入の際はスマート家電対応かをご確認ください)。
実際にNFCタグをかざすと、どのようになるのかGIF動画にしてみたのでご覧ください。
Googleマップが開くようにNFCタグへ書き込みをしてみました!
iPhoneであれば「ショートカット」アプリから簡単に書き込みができます。
今回はシンプルな処理にしましたが、
「現在地からお店(会社)までの経路を表示」という風に書き込むことも可能です。
営業さんが外出先から戻るときなど便利ですよね!
NFCとQRコードとの違い
よくNFCの比較対象に上げられるのがQRコードです。
QRコードのメリットはWeb上で簡単に生成でき、
印刷して大量に配布することが可能なことです。
しかしQRコードですと、
- あまりにも画像が小さすぎるとカメラで読み込めない
- 印刷する際に制限がある(インキの色によっては読み込めない可能性)
- QRコードが商品デザインや世界観を損なう可能性がある
といったデメリットがあります。
また、QRコードはカメラなどで読み込む際、ピントを調整する必要がありますが、
NFCですとタッチ(かざす)だけでOKです。
余談ですが、弊社では立体物へのQRコード印刷も可能ですので、
QRコードの印刷をお考えの方もお気軽にお問い合わせください。
2. NFCタグへの印刷
NFCタグの材質
NFCはタグ、シール、カードといったものが一般に流通していますが、
材質としては、NFCタグは、ABS樹脂やエポキシ樹脂。NFCシールは、一般的なシール素材。
NFCカードは、PVC(ポリ塩化ビニル)でつくられていることが多いです。
どれも印刷が可能な素材となりますが、
NFCタグやNFCカードへの印刷は、一般的に「インクジェット印刷」で行います。
インクジェット印刷とは?
CMYKのインキを製品に直接噴射すると同時にUV光(紫外線)を照射し、
インキを硬化させることで印刷する手法のことです。
版が不要で、フルカラーや写真などの印刷が可能です。
インクジェットであれば、バリアブル印刷(可変印刷)にも対応していますので、
社員証や招待状などへの印刷も可能です。
平面への印刷が基本になりますが、
ゴルフボールやマグカップといった球体や立体物への印刷も可能です。
詳しくはお問い合わせください。
3. NFCタグへの試作事例
今回は、販促事例を想定し、弊社内にて3つのデザインを作成し、印刷を行いました。
デザインデータと実際の印刷物をセットでご紹介させていただきますね。
なお、今回の試作に用いたNFCタグの情報は以下のとおりとなります。
材質:ABS樹脂
厚み:約4mm
商品サイズ:縦4cm×横3cm
印刷方法:インクジェット
印刷範囲:約22φ(直径22mm)
ペットタグ(迷子札)
NFCタグを読み取ると、飼い主さまへの連絡先や情報が表示されるという
ねこちゃんのペットタグ(迷子札)をデザインしました。
今回は、ペットの迷子札での利用を想定しましたが
「迷子NFCタグ!スマホをかざすと両親(家族)の携帯へ発信されます」という文字などをプリントし、
お子さまのリュックに付けたり、登山用の安否タグとしてご家族のリュックに付ける、
といったご利用も可能かと思います。
弊社では1個から印刷できますので、ご家族へのプレゼントなどにも対応可能です。
デザインする際にご注意いただきたいこと
印刷の都合上、丸枠の中心部に寸分違わず配置し印刷する、ということがむずかしいです。
ペットタグもデザインデータ上は中心部に配置していますが、
印刷物を確認すると数mmのズレが生じています。
弊社では、ずれていることを少しでも緩和させるために、
輪郭線が目立たないよう、サイズ感や配色の異なる円を配置するなど、
デザインに工夫を凝らしました。
また、インクジェット印刷ですと、
淡い色のグラデーションがはっきり表現できない可能性があります。
今回は「NFC Pet Tag」という英字に0.15mm程度の白地で文字縁取りをしているのですが、
グラデーション部分の濃度が全体より淡いため、わかりにくくなっています。
おみくじタグ
続いては「おみくじタグ」です。
神社や占いサービスへの販促事例を想定してデザインしてみました!
スマホにかざすとその日の運勢が表示されたら面白いのではないかと思っています。
また、今回はデジタルおみくじとしてデザインしてみましたが、
黄道十二宮(12星座)のデザインにして、星座占いが表示されたりするのもよいかと思います!
赤色のお花の雄しべ部分(白線)は0.04mmの線、
白色のお花の雄しべ部分(赤線)は0.02mmの線で作成しています。
白色のお花に関しては、ややつぶれぎみではありますが、
肉眼で見る分には問題ない仕様かと感じます。
また『開運』の文字の右下にあるお花の下部分が切れてしまっています。
このぐらい微細な表現になってくると、上手く再現できない可能性があります。
メンフィス柄タグ
最後は、どこまで絵柄が再現できるのか、ということで、
あえて境目や凹部、外周(側面)にまたがるデザインを作成し、
インクジェット印刷の限界に挑戦してみました!
どんな風になるのかな・・・!?と少しどきどきしておりましたが、
懸念していた境目や凹部、外周(側面)へも問題なく印刷できました。
このような大胆なデザインであっても再現が可能ですので、
会社さまのIDタグやイベントでのご利用などにいかがでしょうか。
今回は弊社でデザインしたものをご紹介させていただきましたが
実際にお客さまよりNFCタグやカードへの印刷を請け負った実績もございます。
印刷をご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。