今回の試作事例は、ジップ付き袋です。
チャック付き袋やストックバッグ、フリーザーバッグ(冷凍バッグ)などと呼んだりもしますね。
食品の保存袋として売られているものが多いかと思いますが、
文房具や小物やおもちゃを入れたり、旅行の際に洋服や化粧品を入れたり、と汎用性が高く、
また、ドラッグストアはもちろん、スーパーや100円ショップなどにも売っているので手に入りやすく、安価なのも特徴です。
今回は、この万能袋にオリジナルデザインを印刷してみました!
ジップ付き袋は、
ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP/OPP)というプラスチックでつくられています。
今回はその中でも密着がむずかしいとされる
「 ポリエチレン(PE)」への印刷にチャレンジしてみました!
ポリエチレン(PE)は汎用性の高いプラスチック素材で、
私たちの身の回りですと灯油タンクやマヨネーズの容器、
チューブ型アイス容器などに使われています。
ポリエチレン(PE)の特色はなんといっても「耐薬性/耐油性」です。
しかし、耐薬性に優れているという特性によって、印刷用インキを弾いてしまいます。
マヨネーズの容器や、チューブ型のアイス容器を思い浮かべてください。
主に外袋に印刷が施されており、本体容器には印刷がないですよね!
その代わり、成形時の凹凸でロゴや文字などを表現しています。
このような難密着素材であるポリエチレン(PE)ではありますが、
印刷不可能、ということはなく、ポリエチレン素材専用のインキを使用したり、
前処理を施すことで印刷が可能になります。
2. ジップ付き袋への印刷方法
量産品のジップ付き袋は、
専門の工場でワンストップで印刷⇒加工されており、
一般的になんらかのベタ印刷(塗りつぶし)が施されている商品が多いです。
というのも、ポリエチレンは前述のとおり難密着素材ということで
油性ペンで書いても文字が密着しないんです。
食品保存袋という性質上、
できれば「日付」だったり「中身」がわかるようにメモしておきたいですよね。
ということで、どこの会社さんも、ロゴなどといっしょに
ベタ印刷(塗りつぶし)しているケースがほとんどです。
ベタ印刷を施すことで、印刷面の上に文字を書くことができるんですね。
色は単色で白1色のものが多いですが、
限定デザインとして、ピンク色やオレンジ色などで印刷されていることもあります。
また、大量生産のキャラクターものなどは多色印刷が施されています。
ジップ付き袋への小ロット印刷
量産品ではない、既製品のジップ付き袋へ印刷する場合、
一般的にスクリーン印刷という手法で印刷します。
スクリーン印刷とは?
スクリーン印刷についての詳しい説明は ▶ コチラ
スクリーン印刷は「孔版印刷」といって、
メッシュと呼ばれる網状の版にインキが通る孔(あな)をつくり、
孔の部分にインキが通って絵柄や文字が印刷されるというシンプルな手法です。
回転スクリーン印刷という手法もあり、形によっては平面以外にも印刷が可能です。
3. ジップ付き袋への試作事例
それでは試作事例をご紹介します。
試作に用いた商品の情報は以下のとおりとなります。
材質:ポリエチレン(PE)
厚さ:0.03mm
印刷範囲:120mm×120mm
商品サイズ:縦150mm×横165mm
印刷方法:スクリーン印刷
今回は、社内にて2つのデザインを作成しました。
こちらがデザイン画になります。
SNS風のデザイン
1つ目はSNS風のデザインで、袋の中身を目立たせるデザインとなっています。
趣味のグッズを入れて写真を撮るなど、
推し活を楽しむユーザーを想定してデザインを作成しました。
かわいいパッケージのお菓子やユニコーンカラーの小物などを入れても映えそうですよね!
アパレル企業さま向けデザイン
続いて2つ目は、アパレル企業さま向けのデザインを想定してみました。
ハローマイネームイズという名札とグラフィティデザインを組み合わせました。
◤ ハローマイネームイズとは? ◢
海外のパーティなどで、名札の代わりに使われるステッカーのことです。
アメリカなどでは、スーパーや雑貨店で販売されています。
デザインを作成する際に、ご注意いただきたい点
前述のとおり、ポリエチレン(PE)は難密着素材のため、
透明部分には油性ペンであっても文字を書くことができないんです(書いてもすぐ取れてしまいます)。
なので、文字を記入したいところはベタ(塗りつぶし)のデザインにする必要があります。
こういった点を踏まえて、以下の画像のチェック枠部分を見てください。
そうです…! このデザインだとチェック枠に✓が書けないんです…!!
お客さまの方で、油性ペンで記入する工程を想定される場合は、
デザイン作成の際に、ご注意いただけますと幸いです。
また、今回の試作物はポリエチレン素材かつ厚みが0.03mmしかないということもあり、
ベタ部分に関しては綺麗に印刷することができませんでした
(ぱっと見は問題ないのですが、近寄って見ると色々気になる…!な仕上がりです)。
やはりポリエチレン素材の袋へ綺麗に印刷するのはむずかしいですね…!
しかしなぜ厚みが薄いと綺麗に印刷することがむずかしいのでしょうか?
ポリエチレン素材のジップ付き袋は、
ポリプロピレン素材のものに比べると、どうしても折り目がつきやすいです。
スクリーン印刷は平面部分であれば、綺麗に印刷ができますが、
このような薄い素材に折り目が入ってしまうと、折り目を綺麗に伸ばすことができず、
平面ではなくなってしまうため、このような印刷結果になってしまいます。
ただポリエチレン素材であっても厚みがあるものであれば、
もう少し品質を向上させることが可能です。詳しくはお問い合わせいただけますと幸いです。
また、ポリプロピレン(PP)のジップ付き袋であれば、
厚みも充分あり、また折り目もつきにくいため、比較的綺麗に印刷が可能です。
アパレルメーカーさまなどでは、ポリプロピレン素材の袋をご使用になることも多く、
弊社でも印刷請負実績がございます。
商品提供:Blanc for(HAY株式会社 様)
弊社では、プラスチック素材はもちろん、さまざまな材質への印刷実績がございます。
他の会社さまからお断りされた案件であっても、どうぞお気軽にお問い合わせください。