今回の試作事例は、植木鉢/プランターです。
最近はガーデニングだけでなく、インテリアアイテムとして
多肉植物などをかわいい鉢に入れてお部屋に飾る方も増えてますよね!
植木鉢/プランターと一口に言っても、たくさんの種類があります。
材質だけでも、プラスチック、ERP(繊維強化プラスチック)、再生プラスチック(再生PP)、素焼き、テラコッタ、セメント、コンクリート、陶器、金属(ブリキ/スチール)、ガラス…ここから形状やサイズなどで分類すると、さらに多岐にわたります。
今回は再生プラスチック(再生PP)でつくられた植木鉢に印刷を行いましたので、
プラスチック鉢をメインにお話しさせていただきますね。
※プラスチック鉢以外の陶器や金属、ガラス素材の植木鉢でも印刷は可能ですので、
詳しくはお問い合わせいただけますと幸いです。
プラスチックでつくられた植木鉢/プランターについて
プラスチック鉢、と聞くと白色の鉢を思い浮かべる方が多いかと思いますが、
ブラウン系の一見、陶器風に見えるものや、
ブラックやグレーなどシックな雰囲気のものもよく売られています。
加えて、最近はサステナブルの観点より再生PPでつくられた植木鉢が増えてきています。
プラスチックは軽くて安価、また割れにくいので、
素焼きやテラコッタに比べると扱いやすい点がメリットとしてあげられます。
また、プラスチックは加工しやすいことから、
凹みをつけたりスリットを入れることも可能なため、
成形時の柔軟性もメリットとしてあげられます。
プラスチック鉢のデメリットとしては、
素焼きなどに比べると通気性が悪いことがあげられます。
育てたい植物によって最適な素材の植木鉢は異なりますので、
お花屋さんや園芸店さんで聞いてみてくださいね。
植木鉢/プランターの種類
こちらも細かく分類するとたくさんの種類があるのですが、
印刷する観点からいうと、
一般に底面や側面に排水用の穴(スリット)があるタイプとないタイプに分けられます。
弊社では、どちらのタイプのものでも印刷が可能となっております。
植木鉢/プランターの形状
円筒型、お椀型、スクエア型、直方体型、とさまざまな種類があります。
形状によって印刷範囲や印刷方法が制限されますが、
お問い合わせいただいた際に、弊社の方で現物確認の上、
最適な印刷方法をご提案させていただきますのでご安心ください。
植木鉢のサイズ
お椀型の植木鉢のサイズは一般に「号」で定められており、1号=直径3cmとなっております。
号数が大きくなるにつれ3cmずつ直径が増えていきますので、4号であれば直径12cmになります。
ECショップなどでご購入される際は参考になさってください。
弊社では直径30cmくらいまでのサイズであれば印刷実績がございます。
※デザインや印刷位置にも左右されますので、詳しくはお問い合わせください。
2. 植木鉢/プランターへの印刷方法
植木鉢/プランターへ印刷する方法はいくつかありますが、
印刷したいデザインや植木鉢のサイズ/形状によって、最適な印刷方法は異なります。
ここでは代表的な印刷方法をご紹介させていただきます。
① スクリーン印刷
スクリーン印刷とは、孔版印刷の一種で、
メッシュ状の版に、インキを通過させる部分とさせない部分をつくります。
この版の上にインキを載せて、スキージとよばれるヘラのようなものでインキを押し出すと、
孔(あな)の部分だけインキが通過し、下に置いてあるものにインキが転写されます
版や治具代がかかりますが、
水と空気以外の平面のものであれば
プラスチック、金属、木材といったあらゆる素材に印刷できる!というのが強みです。
また、蓄光加工や厚塗り加工、ラメ加工などもできることから、幅広い加飾が可能です。
スクリーン印刷は平面にしか印刷ができませんが、
円筒形状の植木鉢や花瓶であれば、回転スクリーン印刷という手法で印刷することができます。
② パッド印刷
印刷したい文字や絵柄を凹版にし、そこにインキを流し込み、無駄なインキを掻き出し、
弾力性のある「シリコンパッド」というものに一旦絵柄を転写し、
印刷したいものに、再度転写を行う、という印刷手法になります。
版や治具代がかかるので、小ロットですとコストが高くつきますが、
曲面や球体への印刷を得意としており、
印刷物の形状によってはパッド印刷でしか印刷できない、ということもあります。
③ インクジェット印刷
インクジェット印刷とは、
CMYKの4色のインキを霧状に噴射することで、直接製品に印刷する方法です。
無版印刷になりますので、
版をつくることなく、写真やフルカラーデザインの印刷が可能です。
植木鉢へ2色以上の印刷を行いたい場合は、このインクジェット印刷を選択します。
3. 植木鉢/プランターへの試作事例
それでは試作事例をご紹介します。
試作に用いた商品の情報は以下のとおりとなります。
〔 植木鉢/円筒形 〕
材質:再生プラスチック(再生PP)
外寸:直径10cm×高さ10cm
内寸:直径9cm
重さ:約180g
印刷範囲:40mm×40mm
〔 植木鉢/直方体 〕
材質:再生プラスチック(再生PP)
外寸:横16.5cm×奥行9.5cm×高さ10cm
内寸:底面15cm×高さ8cm
重さ:約440g
印刷範囲:40mm×40mm
今回も印刷デザインは社内で作成しました。
デザイン画はこんな感じです!
架空のガーデニングブランドを想像してデザインしてみました。
実際に印刷した完成品をご覧ください。
円筒型と直方体型のものに1色印刷で加飾してみました。
このままふつうに売れてしまうのでは…!?という仕上がりではないでしょうか?
そして実は「Sotoasobi Products」の上にドアのイラストがあるのですが、
SとPの文字をモティーフにしているんですよ…!!
印刷手法について
円筒の方も直方体型の方も今回は、パッド印刷にて試作を行いました。
なぜならば両方とも印刷面が平面ではないからです。
…え?直方体型のプランターは平面では?と思った方!さすがです!
ぱっと見、平面に見えますよね。でもこれ、実は平面ではないんです。
画像でご覧ください。
歪んでますよね。
このぐらい歪みがあるとスクリーン印刷ではスキージががたついてしまい、
印刷することができません。
どうしてこのような歪みが発生しているのでしょうか
これは実はプラスチック成形時にヒケが生じたものなんです。
プラスチック成形のヒケとは?
私たちが普段目にするプラスチックの多くは「射出成形」という技術を用いてつくられています。
プラスチックの粒を高温で溶かし、圧力をかけ一気に金型に注入し、冷やして固化させるといった技術です。
そしてこの成形時に歪みなどが発生することを「ヒケ」といいます。
ポリプロピレン(PP)は一般的にヒケが生じやすいプラスチックになります。
実は、円筒の植木鉢の方もヒケがでており、表面部分は少しがたつきが生じています。
このようなものだと、パッド印刷以外の印刷方法で加飾を行うのはかなりむずかしくなります。
オリジナル鉢/プランターの製作をお考えの方で、
成形後に印刷を想定されている場合は、
そのあたりも成形業者さまとご相談いただくとよろしいかと存じます。
密着について
プラスチック素材の植木鉢は、ポリプロピレン(PP)、再生ポリプロピレン(再生PP)
でつくられていることが多いです。
ポリプロピレンは難密着素材として有名です。
印刷する際には、ポリプロピレン専用のインキを用いたり、
製品表面に前処理を行う必要があります。
前処理にはさまざまな方法がありますが、フレーム処理などを行うと、
物質表面の色味や手触りが変化する可能性がありますので、ご注意ください。
最後に実際に植物を入れてみた写真もお見せしますね。
今回はオリジナルデザインの植木鉢をご紹介させていただきましたが、
実際にお客さまよりご依頼いただき、印刷を請け負った実績もございます。
植木鉢/プランターへの印刷をお考えの方は、
どうぞお気軽にお問い合わせください。